小論文の書き方

新しいじゃんけんを考案!?早稲田大学スポーツ科学部小論文の過去問解答例と解説

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早稲田大学のスポーツ科学部の2018年度の小論文入試問題の解答例と解説を掲載しています。
2018年度はこれまでにない出題傾向で注目されました。試験場でとまどった受験生も多かったのではなかったかと思います。
これから入試に臨む早稲田大学のスポーツ学部のほか、各大学のスポーツ系学部やアスリート推薦方式の入試を目指す方にはぜひ参考にしていただければと思います。


2018年の早稲田大学スポーツ科学部の小論文の問題は、それまでの傾向と少し異なるものになりました。これまでは課題文やグラフが与えられて、それについての考え方を問うものが中心でした。2018年は、短い指示の文のみで、一見してアイデアを問うような内容になっています。2016年のディベート形式にしたものも少し変化がありましたが、それを超える変化といえます。また、文字数も801字以上1000字以内ではなく、601字以上1000字以内と下限が少なくなりました。

早稲田大学スポーツ科学部の一般入試の場合は、小論文が基準点に満たない場合は不合格になりますので、配点が少ないながらも小論文の対策が重要です。

参考記事:早稲田大学スポーツ科学部小論文の直前対策と過去問解説

2018年度早稲田大学スポーツ科学部 小論文入試問題

問題内容

じゃんけんの選択肢「グー」「チョキ」「パー」に、「キュー」という選択肢も加えた新しいゲームを考案しなさい。解答は、新ゲームの目的およびルールを説明するとともに、その新ゲームの魅力あるいは難点も含めて、601字以上1000字以内で論じなさい。

問題用紙PDF

配点と時間

小論文:配点33点(全科目合計183点)
※小論文については、小論文以外の2科目の得点の合計が基準点以上の場合のみ採点の対象。※小論文が基準点に満たない場合は、不合格。
試験時間:90分

解答例

小論塾により作成した解答例です。

 新ゲームの目的は、多人数のじゃんけんでの時間短縮である。従来のじゃんけんは参加者が少人数であれば「あいこ」は少なく、簡単に1人の勝者が決まり決着がつくが、人数が増えるにつれて3つの手がいずれも登場する「あいこ」が増えて決着までに時間がかかるという問題がある。
新ゲームのルールは、「キュー」は親指だけを立てるポーズとし、「キュー」を出した参加者が1名のみの場合、その参加者を勝者とする。「キュー」が2名以上の場合は、それらの参加者はその時点で敗者として、それ以外の参加者の手によって勝敗を判定し敗者を決定する。このとき、「キュー」以外の参加者でも「あいこ」の場合は次回を「キュー」の敗者を除いて行う。すべての参加者が「キュー」の場合は「あいこ」とする。
このゲームの魅力は、道具が必要ないじゃんけんの利点を失わずに決着までの時間が短縮できる点である。対面してじゃんけんができる10名くらいまでの参加者であれば、「キュー」による勝者または敗者が決定して、それ以外が「あいこ」でも決着には近づいていく。また、「キュー」を出すことの有利・不利に参加者によって差がなく、従来じゃんけんのルールからは大きな変化がないというメリットもある。加えて、「キュー」を出すかどうかの駆け引きの要素が発生し、戦略性が増す。多人数の場合は「キュー」で勝つ確率は低いように思われるが、そのように判断している参加者が多ければ、逆に「キュー」による勝ちの可能性は増していく。
このゲームの難点は、新しい手が加わることによって、一見して参加者の手を見分けて、勝敗が判定できるという点はやや困難になることである。また、新しいルールを初めて適用する場合にはルール説明を行う必要がある。このほか、参加者が2名の場合は「キュー」を出していれば負けることはないので、適用できない。

解説

新ゲームを考えるというなかなかの無茶ぶりなのですが、アイデアの内容が重視されるというよりも、的確に指示に従って表現できていることの方が重視されます。アイデアをユニークにするのではなく、不完全なものでもきちんと問題点も含めて説明できていることがよいでしょう。小論文の解答法で指導しているように。解答すべき要素に分けて考えると簡単です。

実はこの問題では、解答すべき要素は、1、「新ゲームの目的」、2、「ルール」、3、「新ゲームの魅力」、4、「難点」と4つもあるため、解答内容が細分化されて、段落構成などを考える必要がなく、極めて取り組みやすい問題と言えます。

解答例でも、各段落の先頭に「新ゲームの目的は~」、「新ゲームのルールは~」、「このゲームの魅力は~」、「このゲームの難点は~」とそれぞれの要素に対して答えていることを明確にする工夫をしています。この方が採点者に対して、親切でしょう。

また、解答例であげたアイデアはやや出来すぎかもしれませんが、認知症予防や介護予防のための体操のようなアイデアや、レクリエーションでよくあるチーム分けの方法など、いろいろなものが考えられるでしょう。現実に採用されないようなアイデアでも、目的、ルール、魅力または難点を解答できれば、小論文の解答としては十分です。

もう一つのこの問題のポイントは新しいルールを的確に伝えられるかです。同じ意味で使用する言葉は同じ表記にして、読む側に意味が特定されて伝わるようにしましょう。解答例の場合は、「参加者」「決着」など同じ意味で使用する言葉を同じように表記しています。

 小論文試験の対策

直前対策

こうした傾向を踏まえたスポーツ科学部の小論文の対策としては、どのような対策が必要でしょうか。

1、スポーツにおける時事問題を整理する

単に「スポーツが好き」「スポーツに興味がある」程度の知識では太刀打ちできません。大学側が求める人材像を考慮し、スポーツにおける時事問題や社会問題はインターネットなどを駆使して整理しておきましょう。
2020年のオリンピックが東京で行われることもあり、この辺りのニュースはまとめておきましょう。

・オリンピックの光と影
・東京五輪がもたらす経済効果
・オリンピックでのインフラ整備
・オリンピックでの地域活性化
・パラリンピックを盛り上げるために

また、全般的な社会問題も確認しておきましょう。
・スポーツナショナリズム
・企業スポーツ
・スポーツ教育
・子供のスポーツ離れ
・スポーツ指導者のあり方
・男女平等
・スポーツにおけるコンプライアンス

2、小論文に適した文章の書き方を練習しておく

いろいろな方法論ありますが、実際のところ、小論文の定義は、「質問に対して、決められた方式で記述する。」ということでしかありません。文章の組み立てを考えたり、練習したり、よもやその理論を考えることは無意味です。

・「である体」「常体」の文章を書く練習
・「私は」「と思う」「と考える」を使わずに文章を書く練習
・どのくらいの字数をどのくらいの時間で書けるかの練習
ほぼこれだけでOKです。「です」「ます」の助動詞を省いて、書き言葉に適した言い回しに慣れましょう。「私は」「と思う」「と考える」を使わないで文章を書き、客観的な分析や主張を行えるように準備しておきましょう。試験の時に、必ずしも使ってはいけないわけではありません。
「どのくらいの字数をどのくらいの時間で書けるかの練習」はできれば、過去問を解くか、解答例を一度読んで自分で再構成してみるのがよいです。

加えて、スポーツのルールに関する議論が文章できるようになるとよいでしょう。一般の人には難しいスポーツのルールを説明したり、現行のルールについて議論する練習もよいでしょう。

3、採点者を意識した解答の方法を心がけておく

「設問のポイントを一つ一つ明確に押さえているか」をアピールできるようにしましょう。
2018年度は、ここを意識しているがどうかが大きな鍵になりました。解答すべき要素を一つずつ捉えて、設問の指示に忠実に答えていることをはっきりと示しましょう。

4、大学サイトをチェック

大学が求める学生像をサイトでチェックしておきましょう。

「受験をお考えの方へ」
スポーツは今、私たちの社会や日々の生活に欠かせない重要な存在になりました。プレイするだけでなく観戦を含めたスポーツ愛好者の増大、体力向上・健康増進への社会的ニーズ、国際的な競技力の向上など、さまざまな側面からスポーツ科学に寄せられる社会的期待があります。また、ビジネスとしてみたスポーツの市場規模拡大も見逃せません。身体表現や遊びまで含めたスポーツを、多彩な科学的手法によって究めていくことで、スポーツマインドと幅広い科学的素養を併せもった人材を育てたい。早稲田大学スポーツ科学部の使命、それは新しい時代を力強く生き抜いていく、新たなワセダマン・ワセダウーマンを育成することにあるのです。

出典:https://www.waseda.jp/fsps/sps/applicants/why/

また、大学のサイトやその他のサイトから、研究分野で特に力を入れていることや教授などの関係者が関わっている最新の話題などをチェックしておきましょう。
残り短い期間ですが、小論文の入試で合格する人はこの時期になっても特に対策など何もしていない人が多いのです。しかし、対策はこの記事を読むだけでもすでに半分は解決していると言えるかもしれません。

高校2年生以下からの対策

スポーツに関する社会問題にはアンテナを張っておくようにしましょう。インターネットでもスポーツ関連のニュースはチェックできます。NHKの特集番組は民放のそれに比べて簡潔で情報量が豊富ですので、ぜひチェックしておきましょう。

小論塾での対策は

早稲田大学スポーツ科学部の過去問や練習問題の問題演習を中心に、弱点を見つけて、そのポイントを重点的に指導します。また、練習問題は近年のスポーツや教育に関するトピックスを中心に的確な予想テーマの問題を使用します。

記述問題の添削を通じて時間内に書きあげ、内容・形式ともに正解の答案を作成できるように指導します。

おすすめのコース

早稲田大学スポーツ科学部の小論文の直前対策は、通塾コースでは4回120分コースをお勧めします。今からの対策が重要です。小論文の対策で合格を勝ち取りましょう。
小論文に苦手意識が強い場合や他の大学のスポーツ系学部との併願やアスリート向けのAO入試、アスリート推薦入試なども含めて受験対策を行う場合も、まずは4回120分コースでの指導で、さらに対策が必要か検討してみてください。

お気軽にお問い合わせください。