あなたにはこれまで3年間真剣なお付き合いをしてきて、来年ぐらいに結婚を約束している彼ないし彼女がいるとします。ところが2カ月前にふとしたことで知り合った別の人が好きになってしまい、今付き合っている人と別れる決心をしました。600字以内で別れの手紙を書いてください。(2015年・愛知医科大学一般入学試験・2次試験・小論文2日目)
うーん、婚約者に手紙だけで・・・。設定がかなりゲスな感じがしますが、どうやって解いたらよいのでしょうか。
愛知医科大学の「別れの手紙」の解説です。
出題のねらいは?
単に出題する教員の趣味なのではないでしょうか。恋愛経験が豊富かどうかを判別しているのかもしれません(笑)。
入試要項にはなんて書いてあったか
真面目に考えると、こういうときのために事前にアドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)を確認しておきましょう。
愛知医科大学医学部は,豊かな人間性を備え,常に医学の進歩に対応して高度の知識・技術を体得できる医師を養成することを目標としています。あわせて,地域医療に奉仕し,医学・医療における国際貢献にも参画できる医師の育成に努めています。
求める学生像
- 医学への強い志向と学習意欲を持つ人
- 医学を学ぶために必要な基礎学力と問題解決能力を備えた人
- 人間性と教養が豊かで,倫理的価値判断に優れた人
- 協調性を持ちコミュニケーション能力に富んだ人
- 誠実で常に努力を怠らない人
はい、このあたりを読んでいたとしても、さっぱり分かりません。ただし、人間性、教養、倫理的価値判断に優れてていること、協調性、コミュニケーション能力、誠実さなどが必要とされていることは分かります。
また、この愛知医科大学の小論文の出題方針やねらいのようなものは個別には公開されていません。二次試験で「小論文」「面接」を5段階評価し判定するとのこと。
無理にこの問題の狙いを推し量ってみる
医学部の小論文の過去問には、ここまで具体的で気持ち悪い設問とまでは行かなくても、受験生の価値観を測るような問題が多く見られます。生命倫理や非常時の行動などです。
医師として様々な立場の人々の心情に配慮したコミュニケーションができるかという点が問われます。特にこの場合は、相手が葛藤するような事実を相手に告げるときの姿勢が問われていると考えるのがよいでしょう。一人の個人についての複数の心情に配慮することがポイントです。例えば、病状や余命に関して、家族や新生児に関して、医療ミスに関しての告知などがありえます。
手紙を書くことを通じて、読んだ相手のいろいろな心情に配慮できるかということです。
書き出しはどうするか
そもそも婚約者を手紙だけで別れるというのは、常識的ではないと思います。そのために、新たな設定を付け加えるという考えもあります。例えば、ドラマなどでありがちな新しい恋人と駆け落ちしてきて二度と相手に会うことができなくなったとか、もしくは普通に、別れたいので会うアポイントを取るなどです。
新たな設定を付け加えることの善し悪し
この種の小論文では抽象的な課題を与えられるため、受験生によっては、新たな設定を付け加えてストーリーを書くことがあるのですが、善し悪しです。自分で付け加えた設定に採点者がついていけなかったり、設定が複雑すぎたりすると解答全体が読みとられにくくなります。最悪なパターンは、課題に与えられていないのに、悲劇的な結末にしてしまったりすることです。暗い内容は避けましょう。
設定を付け加える場合は、常識的でありがちで、誰でもすぐに理解でき、軽く笑えるような明るいものならばよいです。そうでないならば、考え直しましょう。
この場合であれば、手紙の冒頭を相手の名前を設定し、「○○へ」で始めるなどはOKです。
文体はどうするか
常体(だ・である)か敬体(です・ます)かで悩むところかもしれません。どちらでもよいと思いますが、採点者のことを考えれば、敬体が良いと思います。おそらく、現在の受験生の世代は手紙を書くことは少なかったと思います。くだけた言葉や絵文字が満載でもリアルでよいとは思いと思いますが、採点者のことを考えると無難にした方がよいでしょう。40~60代の教員が読むと考えて書きましょう。
書くべき要素は
まずは、相手に対する敬意、感謝を伝えるべきでしょう。いかに、相手を傷つけず、相手にショックを与えないかというところがポイントです。
また、なぜ別れたいと思ったかは、素直に書く方がよいです。理由がはっきりしなければ、また気が変わる可能性があるかもしれないと思い相手はあきらめることができないでしょう。
加えて、別れる意思を明確に表現することが大切です。きちんと別れて相手に再スタートさせるのも一つの思いやりです。
内容について講評するとか添削するような性質の問題ではないかもしれませんが、少なくともこのような要素があることが必要です。
解答例
実際には2次試験の競争率がそこまで高くないので、高いレベルのものは求められていないと思います。
突然の手紙で驚いているかと思います。私の率直な思いを伝えるために手紙という形を取りました。3年間真剣にお付き合いをして、結婚を意識しながら一緒に過ごした日々は私の人生の思い出の宝物です。聡明なあなたなら、この手紙の内容をお察しのこととかもしれません。
実は、2か月前に知り合った人のことが好きになってしまいました。今まで一緒に過ごしてきて、あなたのことは好きです。しかし、その好きという気持ちは恋愛としてではなく、人間として好き、友達として好きという気持ちに変わってしまいました。新しく知り合った人を恋愛感情として好きになってしまった以上、このままであなたとのお付き合いを続けることは嘘をついているような申しわけない気持ちになりました。
長い間付き合って、結婚の約束までしたというのにわがままな私で本当に申し訳ないです。あなたなら私なんかよりも、もっとふさわしい人がきっと見つかります。私なんかに縛られず、あなたにふさわしい別の素敵な人を見つけてください。
最後になりますが、3年間の間、本当にありがとうございました。私の決心は固いので別れる以外の選択肢はありません。しかし、もし、お互いが幸せになれるというのなら親しい友達という関係になりましょう。分かり合える友達としてもう一度、関係を作りましょう。あなたと過ごした日々は幸せでした。最高の思い出でした。お互いに幸せをつかみ直しましょう。さようなら。
小論塾での対策は
愛知医科医学部の過去問や練習問題の問題演習を中心に、弱点を見つけて、そのポイントを重点的に指導します。また、練習問題は形式の類似した問題を中心に的確な予想テーマの問題を使用します。
小論文の記述とも共通する志望理由書の書き方を通じて、これまでの自分や大学進学後の進路を明確に表現できるようにします。
記述問題の添削を通じて時間内に書きあげ、内容・形式ともに正解の答案を作成できるように指導します。
おすすめのコース
愛知医科大学医学部の小論文の直前対策は、通塾コースでは4回120分コースをお勧めします。今からの対策が重要です。2次試験の心構えもしておきましょう。
お気軽にお問い合わせください。